2015年11月21日(土)、22日(日)、南山大学において、第38回大学史研究セミナーを開催いたしました。当日の参加者は、2日合わせて43名でした。
原圭寛(弘前学院大学)
初めて私が参加したセミナーは2010年に京都で開催されました第33回でして、そこから1年おきくらいで参加しております。今回のセミナーでは、プレ企画ではありますが、5年目にして初めて発表のお時間を頂戴いたしました。研究紹介程度の簡単な発表ではありましたが、やはり皆さまご専門が近いだけあって、他の学会発表では味わうことのできない大変貴重な時間となりました。
その後の本大会1日目のシンポジウムは中山茂先生の追悼企画として行われました。先生とは直接お会いする機会が無いままとなってしまいましたが,先生の研究の軌跡について改めて勉強し直すことができました。
2日目の自由研究発表では6つの発表がありましたが、特に私が専門としているアメリカ高等教育史について、坂本辰朗先生の「アメリカ合衆国におけるナショナル・リサーチ・フェロー制度の創設」と福留東土先生の「ローレンス・ローウェルによるハーバード・カレッジ改革」の発表を拝聴できたことで、大変勉強になりました。
またその後に行われたキャンパス・ツアーでは、南山大学の歴史ある建造物の数々を解説付きで見ることができ、大変興味深いものとなりました。至る所にキリスト教の意匠が施されているキャンパスで、何気なく見る分には気付かない部分も多々あったかと存じます。
今回の大会では、大会校の五島敦子先生をはじめ、事務局の先生方には大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。次回のセミナーも楽しみにしております。
山本尚史(長崎女子短期大学)
大学史研究セミナーは、毎年充実した議論がなされ、かつ会員同士の交流も活発なことは言うまでもないですが、南山大学で開催された第38回大会では、「若手研究者の集い」というユニークな企画も開催されました。同時開催されたキャンパスツアーでは、南山大学の美しさを感じるとともに、意外な高低差を楽しみました。日ごろ大学史の話しで盛り上がることの少ない私にとっては、名古屋に着く前も、そして名古屋を発つときも、心踊るセミナーでした。
幸いにも「若手研究者の集い」では発表の機会を頂きました。拙いものになりましたが、2年連続して大学史研究会で発表できたことは、大変光栄なことでした。そして、4名の大学史研究者と話しができたことは、素直に楽しい時間でした。この集いのなかで、特に大学経営の観点から見ておられた戸村理会員の発表は、会計面や雇用面での精細な議論がなされ、とても刺激を受けました。同時に、前任地の九州大学大学文書館で大学史史料に触れていた私は、改めて大学史研究における大学アーカイブズの機能と史料の整理・保存・公開という研究基盤の重要性を感じました。
また、自由研究発表で特に印象深かったのは、坂本辰朗会員の「アメリカ合衆国におけるナショナル・リサーチ・フェロー制度の創設」でした。戦時下の大学史研究に携わる私にとって、国家による研究体制の構築は重要な関心事でした。
そしてシンポジウムでは、中山茂先生追悼企画が行われましたが、私が初めて中山先生をお見かけしたのは中央大学でのセミナーでした。ネルソン先生にご質問されるのを拝見し、そのスマートさに圧倒されたのを覚えています。直接お言葉を交わすことはありませんでしたが、今回の企画を通して、先生が歩んで来られた研究者としての道に触れることができました。
充実したセミナーを企画・開催してくださった諸先生方に御礼申し上げますとともに、南山大学で温かくお迎えくださった、五島会員、林会員、そして学生スタッフの皆さまに厚く御礼申し上げます。
宮里翔大(桜美林大学大学院)
昨年11月21・22日に開催された「第38回大学史研究セミナー」に初めて参加させて頂くことができました。今までこのようなセミナーに参加したことがほとんど無かったうえに、修士1年で「研究(にも至らない)初心者」である私がプレ企画の「若手研究者の集い」で発表させて頂けるなど、とても有意義な2日間を過ごすことができたと感じています。
そのなかでも、発表させて頂いた「若手研究者の集い」では、年齢が比較的近い先輩研究者の方々の発表やその後の意見交換等から、研究方法など直接研究に関することだけでなく、様々なことについて学ぶことができました。私の研究分野である学生に関する研究をされている若手研究者の方も多く、私自身の研究に対しても大変参考になったと感じています。また、私自身の(不十分な)研究についても、皆さまから様々なご指摘を頂くことができ、今後研究を行っていく上でご指摘頂いたことに十分に注意を払いながら研究に取り組みたいと感じています。
また、セミナーでは中山先生に関する講演や国内外様々な分野に関する発表を拝聴することができ、今まで私自身が触れる機会の無かった分野についても幅広く知ることができたと感じています。
この2日間で私自身が感じたことを一言でまとめると、教育学研究・高等教育研究を行ううえで、歴史的な観点を持って研究を行うことの重要性であったのではないかと思います。私は学士課程から教育学を専攻していたため、教育学において研究のアプローチの1つとして、歴史的アプローチの重要性について学んできましたが、その重要性を学士課程の時点では自ら感じることはほとんどありませんでした。しかし、今回のセミナーを通じて歴史的アプローチを用いた研究の重要性を感じたとともに、それ以外のアプローチで研究を行う際にも歴史的な視点を持って研究を行うことが必要不可欠であると感じました。今後、様々な形で研究を行っていくうえで、今回感じたことを常に意識しながら研究に取り組みたいと感じています。
最後に、大学史セミナーに参加させて頂いたこと、また若手研究者の集いで発表させて頂いたことに深く感謝するとともに、運営に携われた先生方に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
根岸昌(東京大学教育学研究科修了)
015 年 11 月 21 日(土)、22 日(日)に、南山大学名古屋キャンパスで開催された大学史研究会第 38 回研究セミナーに参加しました。大学院で指導頂いている福留先生のご紹介により、 今回が研究セミナーへの初参加となります。常日頃から大学史に興味を持ち研究に取り組ん でいましたので、全国の方々の大学史研究の成果を伺えるのを楽しみに、初めて名古屋の地 に足を踏み入れました。名古屋は整然とした街で、また南山大学のキャンパスはお洒落な雰 囲気の街並みの中にあり、その雰囲気を十分に楽しみました。
大会初日は、「若手研究者の集い」、続いてシンポジウムでは中山茂先生を偲んで 3 名の方々 による歴史的観点にたった議論がありました。二日目は、6 名の自由研究発表がありました。 自由研究発表は、1人につき 50 分もの発表時間があり、非常に充実したものとなっていまし た。したがって、全ての発表に関する感想を書くと、かなりの分量になってしまいますので、 今回は「若手研究者の集い」を中心に、はじめて研究セミナーに参加する中で感じたことを 報告します。。
一日目の「若手研究者の集い」では、5 名の若手研究者が各自の研究に関する発表を行いま した。テーマとしては、戦前期日本における私立高等教育機関の教員給与・寄付金に着目した経営構造の日米比較研究、厚生補導の形成プロセス、イェールレポートによる教養教育に 関する歴史的議論、近年の奨学金の動向、戦時下の大学での文化交流が取り上げられており、 多様な観点からの研究の取り組みに大いに刺激を受けました。。
二日目の福留先生の発表は、ハーバード大学の三学長の大学改革の特徴をアメリカ大学史 の中で位置づけ、自由科目選択制度への取り組みを中心に論じられました。三学長の比較が 分かりやすく、現代日本の大学カリキュラムの構成に通ずるものと学び直しました。
最後に、懇親会の時に私と興味関心が共通している研究者の方々を福留先生からご紹介頂 き、その方々との科学史と大学史の話に花が咲きました。。
今回の大学史研究セミナーは、故・中山茂先生の科学史・大学史のご功績について、様々 な先生方の講演があり、その厖大な業績に大いに感銘を受けました。国家間の戦争、科学の 発展、大学史という三者の大きな関係性の中で、改めて大学とは何かを考えさせられました。。
お陰様で有意義な二日間を過ごすことができました。ありがとうございました。