第37回大学史研究セミナー開催報告

2014年11月29日(土)・30日(日)、九州大学箱崎キャンパスにおいて、第37回大学史研究セミナーを開催いたしました。当日の参加者は、2日合わせて32名でした。

  • 山本珠美会員、田中智子会員によるセミナー参加記が、大学史研究通信80号に掲載されています。

開催校からの御礼

井上美香子(九州大学大学文書館)

 2014年11月29日(土)〜30日(日)に、九州大学箱崎キャンパス(会場 箱崎理系地区21世紀交流プラザT 多目的ホール)にて、第37回大学史研究会セミナーを開催いたしました。九州での開催ということで、参加者人数が少ないのではないかと心配していたのですが、お陰様で2日間で、会員・非会員合わせて32名の御参加をいただきました。大学史研究会事務局員になってから、一度は本研究会セミナーを九州大学で開催したいと思っておりましたので、第37回セミナーを開催し無事におえることができ、本当にホッとしています。

 セミナー第1日目(11月29日)のシンポジウムでは、「大学の存在意義を問う−大学と地域社会との関係から−」(九州大学大学文書館共催)と題し、木方十根氏(鹿児島大学):「近代都市の成立と大学町」、市原猛志氏(北九州市門司麦酒煉瓦館):「九州大学箱崎キャンパスをめぐる地域と人びと」、山本珠美氏(香川大学):「地方国立大学は地域社会とどう関わってきたか−高松高商の取り組み−」の3名のパネリストの方々、コメンテーターとして折田悦郎会員(九州大学大学文書館)にご登壇頂きました。本シンポジウムでは、1.大学の設立(あるいは大学の教育研究活動)が地域社会の形成にどのような影響を与えたのか。そして、2.地域社会の存在は教育研究活動を含めた大学の在り方にどのような影響を及ぼしたのか。この2つの論点について、大学と地域社会の関係について建築学的観点そして社会教育的観点からご報告を頂いた後、フロアを含めて非常に熱い議論が交わされました。

 また、第2日目(11月30日)の自由研究発表では、松浦正博会員(広島女学院大学):「形成期パリ大学における大学団と托鉢修道会との対立をめぐって」、福留東土会員(東京大学):「ランドグラント・カレッジと実践的科学―ペンシルバニア農学校初代学長エヴァン・ピューによる初期の農業科学と教育―」、山本尚史会員(九州大学大学文書館):「戦時下九州帝国大学における「文化交流」―九州国際文化協会に着目して―」、香川せつ子会員(西九州大学):「ケンブリッジ大学における自然科学と女性―1880年代から1910年代までを中心に―」の4名による研究発表がなされました。1発表1時間という本研究会での特色が生かされた自由研究発表では、それぞれ時間一杯に非常に深い議論が展開されました。

 また、本セミナーでは、キャンパス見学会も開催いたしました。本シンポジウムパネリストでもあった市原猛志氏(北九州市門司麦酒煉瓦館)がキャンパスツアーのガイドを快くお引き受けくださり、とても丁寧な解説で非常に楽しい見学会を開催することができました。九州大学では、伊都キャンパスへの移転に伴う解体作業等で、箱崎キャンパスの風景は日々変化しつつあります。見学会をとおして、会員の皆様の記憶のなかで箱崎キャンパスが生き続けることができれば幸いと思います(全国から沢山の方々がお越しくださったので、箱崎キャンパスもきっと喜んでいたと思います)。

 最後に、無事にセミナーを終えること出来ましたのも、シンポジスト、自由研究発表の皆様、そして、ご参加頂きました皆様の御蔭だと思います。特に、非会員であるにもかかわらずご快諾くださり、パネリストとしてご登壇して頂きました、木方十根先生、山本珠美先生、市原猛志先生には改めて心から感謝申し上げます。また、自由研究発表の皆様、そして、ご参加頂きました皆々様に厚く御礼申し上げます。