2001年度大学史研究セミナー(広島)実施要領

 


 テーマ 大学理念の歴史的展開

 現代の大学が大きな変動期にあることは、高等教育に関心のあるひとびと共通の認識と思われます。ヨーロッパ中世に起源を発した大学は、産業化、科学技術革命の進展と近代国民国家の成立にともなって、近代大学へと変容し、現在は、グローバリゼーションや情報技術革命を背景に、パトロネージの変化もあいまって、国境を越え、使命達成型(ミッション・オリエンテッド)の教育研究とそれに対応した組織に変容しつつあります。現在の高等教育システムは、1930年代までに、中産階級に対応して、多様化した専門職的なシステムに変化したといわれていますが、このシステム自体が、構造変動のプロセスに突入しているといえます。
 大学の持つ本質的な機能は、知の創造と伝達・普及にあり、それは、歴史的に起源のことなるリベラルアーツ教育・専門教育・職業人教育という3つのカテゴリーを形成し、それぞれの国民国家や地域の産業化、教育制度、専門職制度などの違いを背景に持ちつつ、理念的に統合され、制度化されてきました。今日の変化は、この大学理念にも多大な影響を与えています。
 今年度のセミナーは、リベラルアーツ教育・専門教育・職業人教育を軸に、大学の理念はどのように変化し、それをリードする大学のモデルは、どのようなものになっていくかを、海外から大学史家を招き、アメリカ・イギリス・ヨーロッパ・日本の歴史的展開をテーマに議論し、検討してみたいと思います。
   セミナーは、日本語・英語を併用し、必要に応じて随時通訳を行います。専門分野や世代・所属組織を越えた自由闊達な論議を生命線とする大学史研究セミナーにふさわしく、国を越えて気軽に大学を論じる機会にしたく思います。ぜひご参加ください。
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会場:広島大学学士会館(東広島市鏡山1丁目 広島大学附属中央図書館南西)
広島大学への交通、構内見取り図についてはこちらを参照してください
 
 
 

日 程
第1日[11月23日(金)]
13:00  受付
13:30  セミナー趣旨説明(仙波)
引き続き  自由研究発表
17:30  総 会

第2日[11月24日(土)]
テーマ 大学理念の歴史的展開
9:30    開会
シンポ趣旨説明(仙波)

報告1 イギリス 
ロレンス・ゴルドマン(オクスフォード大学)
コメント 安原  義仁  (広島大学)
司会     羽田  積男  (日本大学)
質疑・討議

10:50-11:00 コーヒーブレーク

報告2 ドイツ  
宮坂 正英 (長崎純心大学)
コメント 別府 昭郎 (明治大学)
司 会  松浦 良充 (明治学院大学)
質疑・討議

12:15?13:45 昼食 

報告3 アメリカ合衆国
ユルゲン・ヘルプスト(ウイスコンシン大学・名誉教授)
コメント 宮田 敏近(高知医科大学)
司会   立川 明 (国際基督教大学)
質疑・討議 

15:00-15:15 コーヒーブレーク

報告4  日本
中山 茂(元神奈川大学)

報告5  日本
羽田 貴史(広島大学)

総括コメント 寺崎 昌男(桜美林大学)
質疑・総括討議
司会 坂本 辰朗(創価大学) 

17:30終了
18:30懇親会 会費5000円程度

第3日[11月25日(日)]
自由研究発表あるいは広島大学ツアー
広島大学西条キャンパス(50年史編集室、先端物質科学研究科、附属中央図書館、高
等教育研究開発センターなど予定)